2012年12月31日月曜日

[みんなで英語教育] 第4回「英語教育、この一冊」

COIL式コロケーション学習法を考案された、大阪府立久米田高等学校の米津博志先生の著書「基礎からベストex.動詞活用マスタードリル時制・熟語」をこの一冊として推薦します。いわゆる、「パターン学習」のドリル本です。英語のしくみを基礎からやり直したい、という学習者に適していると思います。対象としては、中堅校~進学校で、英語の苦手意識がある生徒に使って欲しいと考えます。

COIL式というのに興味がおありの方は、こちらのリンクをご参照下さい※ただし、会員登録が必要になっています。http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/enetap/newenter.php?cmd=Display&PHPSESSID=58nqaepvkutlr8ol3skugv8tp2

[この記事は「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!企画に参加しています」http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20121001/p1

2012年6月26日火曜日

英語教師になる人

英語教師になる人には、二種類あると思う。

パターン1.「もともと教師志望であり、どの科目の教師でも良かったのだが、たまたま得意とする科目が英語であったので、専門科目を英語として教師になる人」

パターン2.「教えるのはそこそこ好きなものの、最初から教師を目指したわけではなく、英語(の勉強や研究)が好きなので、英語を生かした職業として教師になる人」

パターン1の人は、英語以外の教科でも見られると思う。そして、何より、教育を仕事としてやりがいを持って取り組むため、理想的な教育を実践する。僕の小学校の同級生のひとりが、今年小学校の校長になった。彼は小学校の頃から教師を目指していた。そして、高校でも同じ学校になったのだが、理系に進み、地学部の部長をやり、中学校の理科の教師となり、義務教育の世界で校長まで上り詰めたのだ。

パターン2の人は、僕がそのひとりである。大学は教育学部に進んだものの、自分がやりたかった英語の勉強は進んだ学科が技術科だったので、ほとんど出来なかった。英語教師には漠然となりたいとは思っていたが、教師という職業には強い動機はなかった。小学校や中学校の教員にはむしろなりたくはなかった。かろうじて、高校の教員なら、それも、英語の教員なら、やってもいいかな、というくらいの動機だった。実際に試験を受けて教員になろうと決断したのは大学4年の教育実習を終えてからだった。そんなものだから、昔よく言われた「デモシカ」教師の亜流と言っていいかもしれない。

2012年3月4日日曜日

「中学校卒業までに身に付けて欲しい英語力」

『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!企画に参加しています~
http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20120301/p1 


この企画の主催者である、anfieldroadさんは、おそらく、私の勤務する都道府県と同じ地元の中学校の先生なので(汗)、こういうことをお願いする話「中学校卒業までに身につけて欲しい英語力」は、直接過ぎてはなはだ申し上げにくいのですが、現在勤務する学校の生徒の実態にそって、感じたことを述べさせて頂きます。


現任高は県内南部の創立30年弱で市内ではもっとも偏差値の低い普通科高校です。
英語が好きな生徒も一部でいる一方、大半は英語が苦手であり、理解して覚える、という習慣が身に付いていない状態で高校に入学してきます。


平成23年度は第一学年を担任して、新しい取り組みとして、いわゆる「学び直し」の教材を採用しました。
選んだのは、東京書籍の「ラスパ」です。
http://www.tokyo-shoseki.co.jp/test/learning-spiral/index.php

本校の教育課程は、英語Ⅰは4単位ですので、運用として週一時間を「ラスパ」の授業に当てました。

生徒たちの反応も上々で、「先生、今日はラスパの授業ですか?」という問いかけを耳にしない日はないくらい、生徒たちはラスパの授業を心待ちにしています。

計画では、10月には32の項目を終わらせるシラバスでしたが、文法項目が複雑になって行くに従って、進度が落ちて、先日学年末考査を終えましたが、実際は2/3の20まで進んで終わりました。なお、積み残しは、2年次での学校設定科目「英語基礎」などの科目で消化する予定です。

学年末考査の範囲は16「…していました」の【過去進行形】から20「…すること」【to+動詞の原形】まででした。

今回の出題問題の誤答を分析することにより、「中学校卒業までに身につけて欲しい英語力」を主に基礎的文法事項に絞って、指摘していきます。

問:次の各文を指示に従って書き換えなさい。
1.Meg wrote an e-mail.  (「…していました」という過去進行形の文に)
2.Tom reads some books.  (goingを使って「今度の土曜日に…する予定だ」という文に)

(1.の誤答例)
a:*Meg writing an e-mail.
b:*Meg was wrote an e-mail.
c:*Meg was wroting an e-mail.

生徒は「進行形」と聞くと、-ing形にする、という一対一対応を刷り込んでしまうようです。それで、be動詞を落としてしまい、誤答例aのような文を書きます。
また、be動詞を入れても、誤答例bのように「過去形」と聞くとwasと刷り込まれている生徒がいます。
さらに、誤答例cのように、過去進行形がbe動詞の過去形+動詞のing形がわかっていても、ing形が原形につけるという点を理解していない生徒がいます。
授業での指導は、過去進行形を学習する前に現在進行形が既習ですから、比較しながら、「現在進行形の場合は、be動詞を現在形の3つから選ぶ。過去進行形はbe動詞を過去形の二つから選ぶ」
という点です。誤答例cは、最も正答に近いのですが、この指導法では想定外の間違いと考えます。

(2.の誤答例)
a.*Tom will going read some books (next Saturday).
b.*Tom is going to reads some books (next Saturday).
c.*Tom is going to reads some book (next Saturday).

予定を表す表現として、ラスパでは、willを使う表現とbe going toを使う表現を学習させます。
誤答例aは、それを混同してしまう生徒の解答です。指示には「goingを使って」とあるところ、それがbe going toという表現を求めていることを理解出来ていません。授業では、「goingを使うということは、be going toにするんだよ」と指導したのですが、定着率は高くありません。
誤答例bは、be going toを使うという指導は認識していたものの、toのあとの動詞が原形になる、という文法が抜け落ちています。さらに、誤答例cのような解答も多々あったのですが、books をわざわざbookにしてsを取ってしまうという意識は、どこかに「sを取る」という認識があるものの、品詞の区別が定着していないために、動詞の三単現のsを取って原形にする、ということが出来ずに、適当な単語から(ここではたまたまbookという名詞)sを取ったという形になります。誤答例bとcの他に、Tom is going to read some book next Saturday.という解答例もあり、単純にsを書き写し損なった可能性もありますが、どういう時にsがなくて良いのか、の文法が曖昧になっているとも考えられます。

以上のような誤答例から、中学校レベルの復習「学び直し」を高校で行う上で、文法上、次の3点をぜひ中学校卒業までに身につけておいて欲しいと考えます。

1.進行形はbe動詞+動詞の原形ーing → 動詞の-ing形は、必ず原形に付くということ。
2.前置詞toのあとに来る動詞は、ほぼ必ず原形になるということ。→ look forward to -ingなどは例外として、それを学習する時に補足する。
3.動詞と名詞の区別がつくようにするなど、品詞の意識を持たせる。

以上です。