2017年7月5日水曜日

ショーシャンクの空に


「ショーシャンクの空に」という20年以上前の古い映画。この映画の中で終身刑に処せられていた老人が何度も仮釈放を願い出る。しかし、やる気があるときには決して許可されず、もうやる気がなくなった頃にようやく出所する場面があります。しかし、彼は出所後の生活になじむことが出来ずに自ら命を絶ってしまう悲しい結末を迎えます。前任校にいた頃、私は自分自身にこの老受刑者の姿を重ね合わせていました。いつか、環境が変わったとしても、なじめず、その後どうなるのだろう、という漠然とした不安に苛まれていた。現任校に転任して1年3ヶ月。その不安が現実になりつつあるような気がしています。この映画の主役のように希望を失わずに生きられるように努力します。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%81%AE%E7%A9%BA%E3%81%AB

2013年8月15日木曜日

全国英語教育学会(JASELE)第39回北海道大会参加記録(その1)

去る8月10日(土)11日(日)に北星学園大学にて開催された表題の大会に参加してきました。
当初は発表する計画だったのですが、手違いがあり発表はなくなり、それで北海道行きも一度頓挫しました。しかし、家内が札幌在住の旧友と20年ぶりに連絡が取れて北海道に行くことになったため、一緒について行くことにしたのです。それで、学会参加は第一日目のみとなりました。

私が拝聴した自由研究発表は以下の通りです。

1.「特定の課題に関する調査」に見る中学生の英語発進力:CEFR基準特性の観点から(根岸雅史・投野由紀夫・長沼君主・工藤洋路)※会場がB301から変更になっていて、少し迷いました。
東京外語大学OBの先生方による共同研究です。細かいデータを提供していただいたので、結果に関する説明は納得がいくものでした。その結果は、対象が中学生で、発話産出は自ずと限られたものになる、特に語彙が限られているため、使う語もlikeやwant toなどが繰り返される傾向ということでした。これらは指導から1~2年かからないと産出されないということが明らかになり、かなりの時間を要するという結論です。

2.物語の主人公が持つ「目標」の読解:学習者の推論生成と記憶表象の観点から
(卯城祐司・名畑目真吾・長谷川佑介・木村雪乃・濱田彰・田中菜採:筑波大学)
物語文の読みとりで、主人公が持つ「目標」の部分を明示的に読み取らせるのと、そこがないかわりに手がかり文を読ませて「目標」を暗示的に与えた文を読ませてどれだけ元の物語が再生できるか、という研究。その手がかり文を統制手がかり条件と目標手がかり条件に分け、さらに直後再生か、遅延再生かで、結果成績を比較。結果分類が多岐に渡るので理解が大変だったが、直後再生の場合は、明示的でも暗示的でも差はなし。遅延再生の場合には、統制手がかり条件は目標手がかり条件(目標明示)より劣る。結果の考察として、統制手がかりから推論で「目標」をある程度できる部分は直後にテストされた場合(直後再生)は、あまり自信がないけれども、それを素直に再生すると、明示された場合とそれほど変わらない。しかし、時間が経つと、その自信のなさが、記憶の定着に影響して、遅延再生では結果が劣る。やはり、どこかで、きちんと答え合わせしてあげて、「その推論は正しかった!」という実感を与えてあげることがせっかく手がかりから導き出した正確さのある推論を後押ししないということ。

3.多義語知識習得における付随的語彙学習の効果:リメディアル教育現場での検証(星野由子・阿部牧子:東京富士大学)
付随的語彙学習が起こるためには目標語の意味を推測しなければならないが、未知語に遭遇したとき読み手が取るストラテジーとしては高度。語彙数が限られている初学者や英語が不得意な学習者は未知語に遭遇するとこれを無視するという方策に走ってしまう。この研究は、takeに焦点をあて、a時間がかかる b連れていく・持っていく c乗る d買う e口に入れる の五つの語義が正確に把握されているかを和訳を求めることで事前・事後確認。間にリーディングマテリアルを読ませ内容理解問題と理解度を自己判断させる。結果は事後テストの方が得点が高いが意味によってばらつきがある。考察:コロケーションの問題がある(「かかる」の意味の目的語が事前事後で異なっていた、「つれていく・もっていく」目的語が生物か無生物か)←メンタルレキシコンの中で別々のエントリーになっている可能性あり。
多義語の習得には以前から興味があったのだが、動詞takeに関しての限定的な結果であったので、今後名詞や副詞などいろいろな語で研究が進むとよいなと思う。

(続く)

追記:8/15誤字訂正


2012年12月31日月曜日

[みんなで英語教育] 第4回「英語教育、この一冊」

COIL式コロケーション学習法を考案された、大阪府立久米田高等学校の米津博志先生の著書「基礎からベストex.動詞活用マスタードリル時制・熟語」をこの一冊として推薦します。いわゆる、「パターン学習」のドリル本です。英語のしくみを基礎からやり直したい、という学習者に適していると思います。対象としては、中堅校~進学校で、英語の苦手意識がある生徒に使って欲しいと考えます。

COIL式というのに興味がおありの方は、こちらのリンクをご参照下さい※ただし、会員登録が必要になっています。http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/enetap/newenter.php?cmd=Display&PHPSESSID=58nqaepvkutlr8ol3skugv8tp2

[この記事は「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!企画に参加しています」http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20121001/p1

2012年6月26日火曜日

英語教師になる人

英語教師になる人には、二種類あると思う。

パターン1.「もともと教師志望であり、どの科目の教師でも良かったのだが、たまたま得意とする科目が英語であったので、専門科目を英語として教師になる人」

パターン2.「教えるのはそこそこ好きなものの、最初から教師を目指したわけではなく、英語(の勉強や研究)が好きなので、英語を生かした職業として教師になる人」

パターン1の人は、英語以外の教科でも見られると思う。そして、何より、教育を仕事としてやりがいを持って取り組むため、理想的な教育を実践する。僕の小学校の同級生のひとりが、今年小学校の校長になった。彼は小学校の頃から教師を目指していた。そして、高校でも同じ学校になったのだが、理系に進み、地学部の部長をやり、中学校の理科の教師となり、義務教育の世界で校長まで上り詰めたのだ。

パターン2の人は、僕がそのひとりである。大学は教育学部に進んだものの、自分がやりたかった英語の勉強は進んだ学科が技術科だったので、ほとんど出来なかった。英語教師には漠然となりたいとは思っていたが、教師という職業には強い動機はなかった。小学校や中学校の教員にはむしろなりたくはなかった。かろうじて、高校の教員なら、それも、英語の教員なら、やってもいいかな、というくらいの動機だった。実際に試験を受けて教員になろうと決断したのは大学4年の教育実習を終えてからだった。そんなものだから、昔よく言われた「デモシカ」教師の亜流と言っていいかもしれない。

2012年3月4日日曜日

「中学校卒業までに身に付けて欲しい英語力」

『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!企画に参加しています~
http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20120301/p1 


この企画の主催者である、anfieldroadさんは、おそらく、私の勤務する都道府県と同じ地元の中学校の先生なので(汗)、こういうことをお願いする話「中学校卒業までに身につけて欲しい英語力」は、直接過ぎてはなはだ申し上げにくいのですが、現在勤務する学校の生徒の実態にそって、感じたことを述べさせて頂きます。


現任高は県内南部の創立30年弱で市内ではもっとも偏差値の低い普通科高校です。
英語が好きな生徒も一部でいる一方、大半は英語が苦手であり、理解して覚える、という習慣が身に付いていない状態で高校に入学してきます。


平成23年度は第一学年を担任して、新しい取り組みとして、いわゆる「学び直し」の教材を採用しました。
選んだのは、東京書籍の「ラスパ」です。
http://www.tokyo-shoseki.co.jp/test/learning-spiral/index.php

本校の教育課程は、英語Ⅰは4単位ですので、運用として週一時間を「ラスパ」の授業に当てました。

生徒たちの反応も上々で、「先生、今日はラスパの授業ですか?」という問いかけを耳にしない日はないくらい、生徒たちはラスパの授業を心待ちにしています。

計画では、10月には32の項目を終わらせるシラバスでしたが、文法項目が複雑になって行くに従って、進度が落ちて、先日学年末考査を終えましたが、実際は2/3の20まで進んで終わりました。なお、積み残しは、2年次での学校設定科目「英語基礎」などの科目で消化する予定です。

学年末考査の範囲は16「…していました」の【過去進行形】から20「…すること」【to+動詞の原形】まででした。

今回の出題問題の誤答を分析することにより、「中学校卒業までに身につけて欲しい英語力」を主に基礎的文法事項に絞って、指摘していきます。

問:次の各文を指示に従って書き換えなさい。
1.Meg wrote an e-mail.  (「…していました」という過去進行形の文に)
2.Tom reads some books.  (goingを使って「今度の土曜日に…する予定だ」という文に)

(1.の誤答例)
a:*Meg writing an e-mail.
b:*Meg was wrote an e-mail.
c:*Meg was wroting an e-mail.

生徒は「進行形」と聞くと、-ing形にする、という一対一対応を刷り込んでしまうようです。それで、be動詞を落としてしまい、誤答例aのような文を書きます。
また、be動詞を入れても、誤答例bのように「過去形」と聞くとwasと刷り込まれている生徒がいます。
さらに、誤答例cのように、過去進行形がbe動詞の過去形+動詞のing形がわかっていても、ing形が原形につけるという点を理解していない生徒がいます。
授業での指導は、過去進行形を学習する前に現在進行形が既習ですから、比較しながら、「現在進行形の場合は、be動詞を現在形の3つから選ぶ。過去進行形はbe動詞を過去形の二つから選ぶ」
という点です。誤答例cは、最も正答に近いのですが、この指導法では想定外の間違いと考えます。

(2.の誤答例)
a.*Tom will going read some books (next Saturday).
b.*Tom is going to reads some books (next Saturday).
c.*Tom is going to reads some book (next Saturday).

予定を表す表現として、ラスパでは、willを使う表現とbe going toを使う表現を学習させます。
誤答例aは、それを混同してしまう生徒の解答です。指示には「goingを使って」とあるところ、それがbe going toという表現を求めていることを理解出来ていません。授業では、「goingを使うということは、be going toにするんだよ」と指導したのですが、定着率は高くありません。
誤答例bは、be going toを使うという指導は認識していたものの、toのあとの動詞が原形になる、という文法が抜け落ちています。さらに、誤答例cのような解答も多々あったのですが、books をわざわざbookにしてsを取ってしまうという意識は、どこかに「sを取る」という認識があるものの、品詞の区別が定着していないために、動詞の三単現のsを取って原形にする、ということが出来ずに、適当な単語から(ここではたまたまbookという名詞)sを取ったという形になります。誤答例bとcの他に、Tom is going to read some book next Saturday.という解答例もあり、単純にsを書き写し損なった可能性もありますが、どういう時にsがなくて良いのか、の文法が曖昧になっているとも考えられます。

以上のような誤答例から、中学校レベルの復習「学び直し」を高校で行う上で、文法上、次の3点をぜひ中学校卒業までに身につけておいて欲しいと考えます。

1.進行形はbe動詞+動詞の原形ーing → 動詞の-ing形は、必ず原形に付くということ。
2.前置詞toのあとに来る動詞は、ほぼ必ず原形になるということ。→ look forward to -ingなどは例外として、それを学習する時に補足する。
3.動詞と名詞の区別がつくようにするなど、品詞の意識を持たせる。

以上です。

2011年10月8日土曜日

[みんなで英語教育]第2回「英文法指導」(その4)終・英語劇手法の授業実践例

・ダイアログビルディングのハンドアウト作成例(英語劇手法の授業実践例)
英語教育ブログみんなで書けば怖くない!企画(http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20111001/p1)に参加中!


大変古いのであるが、実践例をあげる。

【指導の手順】
(ア)第一時(導入):教科書でふれた、目標となる文法事項を復習する。「最上級を表す比較級」の表現を教科書文中より抜きだして説明する。
(イ)第二時(展開1):実際のダイアログを作る課程。第一時でできた一対の対話文を発展させて、もっと状況のはっきりした対話文を作らせる。
(ウ)第三時(展開2):できあがった対話文を練習させる。ここではALTの力を借りて、“ヒューマン・コンピューター※”という手法をとる。
(エ)第四時(まとめ):対話文の練習の成果を発表させる。



【使用教科書】英語Ⅰ 平成8年度版 啓林館Milestone English I

Lesson 5  “A Thousand Cranes”

言語材料「最上級を表す比較級の表現」

'Dialogue building'

STEP①

最上級を表す比較級の言い方を覚えましょう。
例文:a. Sadako wanted that more than anything else.
      b. Alaska is bigger than any other state in the United States.
      c. Nobody in the class can run faster than Tom.

・ S  i  t  u  a  t  i  o  n     1 :食卓にて
A:「もう少しポテトはいかがですか。」

B:「ええ、お願いします。これは今まで食べたどのポテトよりおいしいです。」

・ S  i  t  u  a  t  i  o  n    2:野球ファンの会話
: 「野茂はすばらしいピッチャーだね。」

B:「日本のほかのどんなピッチャーも彼ほどには投げられないよ。(彼が最高だ)」

・ S  i  t  u  a  t  i  o  n    3: 
A:「私のことどれくらい愛してる?」

B:「世界中のどんな男よりもさ(自分が最高に君を愛している)。」


・ S  i  t  u  a  t  i  o  n    4:(フリー)*自由に作ってみましょう。




Step②

それぞれのSituationの中から一つ選んで、もう少し長いDialogueを作りましょう。
Target Itemは序破急のどこに入れてもよい。
 (  例  ) Situation 2を使った場合、→【破】にTargetを入れて
【序】 1 A:Wow! This is the tenth strike out in today's game.
     2 B:It's incredible.
【破】 3 A:Nomo is a great pitcher.
     4 B:No other Japanese pitcher can pitch better than he.
【急】 5 A:I agree with you.
     6 B:I'm really proud of him as a Japanese.

この序破急のどこかにTarget Itemをもってくる。Situationは1~6
のどれか一つを選ぶ。

序   1 A:                                                                  

     2 B:                                                                   

破   3 A:                                                                  

     4 B:                                                                  

急   5 A:                                                                   

     6 B:                                                                  

Step③  プレゼンテーション


   (自分達で作ったスキットを演じてみましょう!)


※ヒューマンコンピューターHuman Computer
ヒューマニスティック・アプローチの一つの応用例である“コムニティー・ラングエッジ・ラーニング”の手法。テクニックのひとつにHuman Computerと呼ばれる学習者主導の「繰り返し練習」がある。これは、通常指導者の後について練習させる読みの練習を、学習者の方からさせて指導者はその後について模範となる発音を繰り返す。学習者はあたかもコンピューターを扱うように、自分の好きなだけ好きなフレーズを繰り返し練習できる。


《まとめ》
この実践は、12ヶ月海外研修の成果を実際の授業発表として10年次研修でも授業公開した。
しかしながら、大変な手間と時間がかかるため、他の英語科教員と教科書の進度を揃えながら日々の実践で採用することは不可能な点が残念である。

2011年10月7日金曜日

[みんなで英語教育] 第2回「英文法指導」(その3)

・Personal Involvement型コミュニケーションで英文法を学ぶ
英語教育ブログみんなで書けば怖くない!企画(http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20111001/p1)に参加中!

(続き)前回に引き続き、コミュニケーション活動を英文法を結ぶ方法を考える。

京都教育大学教授の斎藤栄二先生によれば、コミュニケーションには二つのタイプがあるという。一つは、"Finding Fact型"といい、事実を伝えあうことである。インフォメーションギャップの活動を行うときに現れる。例えば、時刻を尋ねたり、道を尋ねたりなど。これは言葉を用いなくても身振り手振りで達成できるタイプのコミュニケーションとも言うことができる。

もう一つは、"Personal Involvement型"といい、コミュニケーションがなされるときに、その人なりの個人としての考え・意見・印象が伝えられるタイプである。例えば、「今日は暑いね。」に対して、「それほどでもないんじゃないの。」という応答をする場合など。日常会話を分析してみると後者の"Personal involvement型"が中心になってコミュニケーションが成立している。つまり、自分の考え方や価値観を相手に伝えるために言葉によるコミュニケーションがあるのだと定義できるだろう。より現実に近い形でコミュニケーション練習するには、"Personal Involvement型"の会話を取り入れたダイアログが効果的である。

次に、文法事項の指導と"Personal Involvement型"ダイアログを結びつける方法であるが、新しい文法事項や表現などを習っても、それをどういう場面で使えるのかを知らないから、英語を使えない、という仮説から、与えられた文法事項がどんな時に会話に登場するのかということを生徒に想像させる。ここでは自分の言いたいこと(感想・意見など)は元々あったわけではないのだが、「こういう表現を使えばこう伝えたいときにこう言える。」ということを生徒自らが想像(創造)していくことを要求する。このような練習を積み重ねることにより、実際にある場面で自分が伝えたいことがあったときに練習した成果が期待できる。

「自分の言いたいことを言いなさい」というタイプの英会話練習では、たいてい語彙の少なさや、文法知識の不足からくる、表現の稚拙さが避けられない。だが、あらかじめ習得すべき文法事項や構文が与えられており、それを元に自分の言いたいことを表現していくという手順を取れば、後は語彙力の問題だけが残る。これは語彙の学習に焦点を当てた指導法ではないので、指導者が学習者に無条件に必要な語彙を与えていくことで解消できる。こうして、英語劇手法の指導の元になる台本、すなわちダイアログを生徒に作らせる、という手法にたどり着いた。

私自身は、ずっと英語劇手法という概念で研究してきたが、12ヶ月米国研修のプロジェクトとして取り組んだ成果を提出後、指導教官に評された言葉の中に「これはダイアログビルディングである」というものがあり、この学習活動は、英語劇手法というよりはダイアログビルディングと呼ばれるものだと学習した。(続く)