(続き)問題は、どのような劇を採用して教室での指導に生かすかということであった。1994年当時、米国での研修の総まとめになる論文作成でも、劇を用いた指導法のサンプルをいかに収集するかが指導教官との間で議論になった。劇を使う目的は、あくまで日本の教室で、日本人の学生に英語を効果的に指導するという点である。これはかなり厳しい条件での検索となった。クラブ活動などのように、十分に時間を取れてしかも学習者の動機付けが強い条件ならば、一つのまとまった台本を用いて劇の制作という形態をとることができる。しかし、教室の授業の一環として英語劇手法を用いるのであれば、こういった方法は採ることができない。また、日本の英語教育の現状から考えて、検定教科書から離れた内容に取り組むことも難しいし、受験対策としての文法・訳読式授業の根強い需要もある。
日本の英語学習指導は文法指導中心で、進学受験のためばかりで身に付かないと批判を受けてきた。そしてもっとコミュニケーション活動に重点を置いた学習指導が求められてきた。しかし、文法を全く指導せずに外国語を習得させることはできない。私が研修を受けてきた米国でも、文法を目的とした授業は行われなかった。しかし、文法事項を学習することは否定されてはいない。問題は、正確なコミュニケーションを行うために、どのような方法で文法を正しく習得させていくか、ということなのである。
劇の手法の指導法を探し求めるうちに、次第に日本の英語教育に適合したものが米国に存在するのか疑問を持ち始めた。つまり、英語教育の目標や現実が異なる状況では、指導法も変わってくるということである。そこで、日本の英語教育の実状に合うように、文法事項の習得を目的とした英語劇手法の指導法を独自に考案することにした。スピーキングやリスニングの機会を増やしながら、コミュニケーションのための文法事項の学習もできる指導法はないかと考えたのである。つまり、ある場面のコミュニケーション活動に必要な英文法を習得させる学習活動を模索するのである。(続く)
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