・Personal Involvement型コミュニケーションで英文法を学ぶ
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(続き)前回に引き続き、コミュニケーション活動を英文法を結ぶ方法を考える。
京都教育大学教授の斎藤栄二先生によれば、コミュニケーションには二つのタイプがあるという。一つは、"Finding Fact型"といい、事実を伝えあうことである。インフォメーションギャップの活動を行うときに現れる。例えば、時刻を尋ねたり、道を尋ねたりなど。これは言葉を用いなくても身振り手振りで達成できるタイプのコミュニケーションとも言うことができる。
もう一つは、"Personal Involvement型"といい、コミュニケーションがなされるときに、その人なりの個人としての考え・意見・印象が伝えられるタイプである。例えば、「今日は暑いね。」に対して、「それほどでもないんじゃないの。」という応答をする場合など。日常会話を分析してみると後者の"Personal involvement型"が中心になってコミュニケーションが成立している。つまり、自分の考え方や価値観を相手に伝えるために言葉によるコミュニケーションがあるのだと定義できるだろう。より現実に近い形でコミュニケーション練習するには、"Personal Involvement型"の会話を取り入れたダイアログが効果的である。
次に、文法事項の指導と"Personal Involvement型"ダイアログを結びつける方法であるが、新しい文法事項や表現などを習っても、それをどういう場面で使えるのかを知らないから、英語を使えない、という仮説から、与えられた文法事項がどんな時に会話に登場するのかということを生徒に想像させる。ここでは自分の言いたいこと(感想・意見など)は元々あったわけではないのだが、「こういう表現を使えばこう伝えたいときにこう言える。」ということを生徒自らが想像(創造)していくことを要求する。このような練習を積み重ねることにより、実際にある場面で自分が伝えたいことがあったときに練習した成果が期待できる。
「自分の言いたいことを言いなさい」というタイプの英会話練習では、たいてい語彙の少なさや、文法知識の不足からくる、表現の稚拙さが避けられない。だが、あらかじめ習得すべき文法事項や構文が与えられており、それを元に自分の言いたいことを表現していくという手順を取れば、後は語彙力の問題だけが残る。これは語彙の学習に焦点を当てた指導法ではないので、指導者が学習者に無条件に必要な語彙を与えていくことで解消できる。こうして、英語劇手法の指導の元になる台本、すなわちダイアログを生徒に作らせる、という手法にたどり着いた。
私自身は、ずっと英語劇手法という概念で研究してきたが、12ヶ月米国研修のプロジェクトとして取り組んだ成果を提出後、指導教官に評された言葉の中に「これはダイアログビルディングである」というものがあり、この学習活動は、英語劇手法というよりはダイアログビルディングと呼ばれるものだと学習した。(続く)
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