2011年10月8日土曜日

[みんなで英語教育]第2回「英文法指導」(その4)終・英語劇手法の授業実践例

・ダイアログビルディングのハンドアウト作成例(英語劇手法の授業実践例)
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大変古いのであるが、実践例をあげる。

【指導の手順】
(ア)第一時(導入):教科書でふれた、目標となる文法事項を復習する。「最上級を表す比較級」の表現を教科書文中より抜きだして説明する。
(イ)第二時(展開1):実際のダイアログを作る課程。第一時でできた一対の対話文を発展させて、もっと状況のはっきりした対話文を作らせる。
(ウ)第三時(展開2):できあがった対話文を練習させる。ここではALTの力を借りて、“ヒューマン・コンピューター※”という手法をとる。
(エ)第四時(まとめ):対話文の練習の成果を発表させる。



【使用教科書】英語Ⅰ 平成8年度版 啓林館Milestone English I

Lesson 5  “A Thousand Cranes”

言語材料「最上級を表す比較級の表現」

'Dialogue building'

STEP①

最上級を表す比較級の言い方を覚えましょう。
例文:a. Sadako wanted that more than anything else.
      b. Alaska is bigger than any other state in the United States.
      c. Nobody in the class can run faster than Tom.

・ S  i  t  u  a  t  i  o  n     1 :食卓にて
A:「もう少しポテトはいかがですか。」

B:「ええ、お願いします。これは今まで食べたどのポテトよりおいしいです。」

・ S  i  t  u  a  t  i  o  n    2:野球ファンの会話
: 「野茂はすばらしいピッチャーだね。」

B:「日本のほかのどんなピッチャーも彼ほどには投げられないよ。(彼が最高だ)」

・ S  i  t  u  a  t  i  o  n    3: 
A:「私のことどれくらい愛してる?」

B:「世界中のどんな男よりもさ(自分が最高に君を愛している)。」


・ S  i  t  u  a  t  i  o  n    4:(フリー)*自由に作ってみましょう。




Step②

それぞれのSituationの中から一つ選んで、もう少し長いDialogueを作りましょう。
Target Itemは序破急のどこに入れてもよい。
 (  例  ) Situation 2を使った場合、→【破】にTargetを入れて
【序】 1 A:Wow! This is the tenth strike out in today's game.
     2 B:It's incredible.
【破】 3 A:Nomo is a great pitcher.
     4 B:No other Japanese pitcher can pitch better than he.
【急】 5 A:I agree with you.
     6 B:I'm really proud of him as a Japanese.

この序破急のどこかにTarget Itemをもってくる。Situationは1~6
のどれか一つを選ぶ。

序   1 A:                                                                  

     2 B:                                                                   

破   3 A:                                                                  

     4 B:                                                                  

急   5 A:                                                                   

     6 B:                                                                  

Step③  プレゼンテーション


   (自分達で作ったスキットを演じてみましょう!)


※ヒューマンコンピューターHuman Computer
ヒューマニスティック・アプローチの一つの応用例である“コムニティー・ラングエッジ・ラーニング”の手法。テクニックのひとつにHuman Computerと呼ばれる学習者主導の「繰り返し練習」がある。これは、通常指導者の後について練習させる読みの練習を、学習者の方からさせて指導者はその後について模範となる発音を繰り返す。学習者はあたかもコンピューターを扱うように、自分の好きなだけ好きなフレーズを繰り返し練習できる。


《まとめ》
この実践は、12ヶ月海外研修の成果を実際の授業発表として10年次研修でも授業公開した。
しかしながら、大変な手間と時間がかかるため、他の英語科教員と教科書の進度を揃えながら日々の実践で採用することは不可能な点が残念である。

2011年10月7日金曜日

[みんなで英語教育] 第2回「英文法指導」(その3)

・Personal Involvement型コミュニケーションで英文法を学ぶ
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(続き)前回に引き続き、コミュニケーション活動を英文法を結ぶ方法を考える。

京都教育大学教授の斎藤栄二先生によれば、コミュニケーションには二つのタイプがあるという。一つは、"Finding Fact型"といい、事実を伝えあうことである。インフォメーションギャップの活動を行うときに現れる。例えば、時刻を尋ねたり、道を尋ねたりなど。これは言葉を用いなくても身振り手振りで達成できるタイプのコミュニケーションとも言うことができる。

もう一つは、"Personal Involvement型"といい、コミュニケーションがなされるときに、その人なりの個人としての考え・意見・印象が伝えられるタイプである。例えば、「今日は暑いね。」に対して、「それほどでもないんじゃないの。」という応答をする場合など。日常会話を分析してみると後者の"Personal involvement型"が中心になってコミュニケーションが成立している。つまり、自分の考え方や価値観を相手に伝えるために言葉によるコミュニケーションがあるのだと定義できるだろう。より現実に近い形でコミュニケーション練習するには、"Personal Involvement型"の会話を取り入れたダイアログが効果的である。

次に、文法事項の指導と"Personal Involvement型"ダイアログを結びつける方法であるが、新しい文法事項や表現などを習っても、それをどういう場面で使えるのかを知らないから、英語を使えない、という仮説から、与えられた文法事項がどんな時に会話に登場するのかということを生徒に想像させる。ここでは自分の言いたいこと(感想・意見など)は元々あったわけではないのだが、「こういう表現を使えばこう伝えたいときにこう言える。」ということを生徒自らが想像(創造)していくことを要求する。このような練習を積み重ねることにより、実際にある場面で自分が伝えたいことがあったときに練習した成果が期待できる。

「自分の言いたいことを言いなさい」というタイプの英会話練習では、たいてい語彙の少なさや、文法知識の不足からくる、表現の稚拙さが避けられない。だが、あらかじめ習得すべき文法事項や構文が与えられており、それを元に自分の言いたいことを表現していくという手順を取れば、後は語彙力の問題だけが残る。これは語彙の学習に焦点を当てた指導法ではないので、指導者が学習者に無条件に必要な語彙を与えていくことで解消できる。こうして、英語劇手法の指導の元になる台本、すなわちダイアログを生徒に作らせる、という手法にたどり着いた。

私自身は、ずっと英語劇手法という概念で研究してきたが、12ヶ月米国研修のプロジェクトとして取り組んだ成果を提出後、指導教官に評された言葉の中に「これはダイアログビルディングである」というものがあり、この学習活動は、英語劇手法というよりはダイアログビルディングと呼ばれるものだと学習した。(続く)

2011年10月3日月曜日

[みんなで英語教育] 第2回「英文法指導」(その2)

・コミュニケーション活動に要る英文法を教える


(続き)問題は、どのような劇を採用して教室での指導に生かすかということであった。1994年当時、米国での研修の総まとめになる論文作成でも、劇を用いた指導法のサンプルをいかに収集するかが指導教官との間で議論になった。劇を使う目的は、あくまで日本の教室で、日本人の学生に英語を効果的に指導するという点である。これはかなり厳しい条件での検索となった。クラブ活動などのように、十分に時間を取れてしかも学習者の動機付けが強い条件ならば、一つのまとまった台本を用いて劇の制作という形態をとることができる。しかし、教室の授業の一環として英語劇手法を用いるのであれば、こういった方法は採ることができない。また、日本の英語教育の現状から考えて、検定教科書から離れた内容に取り組むことも難しいし、受験対策としての文法・訳読式授業の根強い需要もある。

日本の英語学習指導は文法指導中心で、進学受験のためばかりで身に付かないと批判を受けてきた。そしてもっとコミュニケーション活動に重点を置いた学習指導が求められてきた。しかし、文法を全く指導せずに外国語を習得させることはできない。私が研修を受けてきた米国でも、文法を目的とした授業は行われなかった。しかし、文法事項を学習することは否定されてはいない。問題は、正確なコミュニケーションを行うために、どのような方法で文法を正しく習得させていくか、ということなのである。

劇の手法の指導法を探し求めるうちに、次第に日本の英語教育に適合したものが米国に存在するのか疑問を持ち始めた。つまり、英語教育の目標や現実が異なる状況では、指導法も変わってくるということである。そこで、日本の英語教育の実状に合うように、文法事項の習得を目的とした英語劇手法の指導法を独自に考案することにした。スピーキングやリスニングの機会を増やしながら、コミュニケーションのための文法事項の学習もできる指導法はないかと考えたのである。つまり、ある場面のコミュニケーション活動に必要な英文法を習得させる学習活動を模索するのである。(続く)


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[みんなで英語教育] 第2回「英文法指導」(その1)

anfieldroadさんの「英語教育ブログみんなで書けば怖くない!」企画(http://d.hatena.ne.jp/anfieldroad/20111001/p1)に参加中。


・英文法とコミュニケーション活動


英文法の目的は、英語を正しく運用するための「道しるべ」だと思う。しかし言語体系が英語とかけ離れている日本語を母語とする我々日本人には、英文法は英語を習得するのに大きな壁となる。一方、口頭でのコミュニケーションに必要なリスニング力や、スピーキング力を習得するのはさらに難しい。単調な日本語のイントネーションに慣れてしまっていることが、強弱がダイナミックに響く英語の音の聞き取りや発声を困難にしているからだ。これらは、一般的には英語を使いながら、肉体的に「慣れて」習得していくのであるが、日常生活で英語を使うことのない日本人の学生には、教室で意識的に取り組ませ、訓練することが必要かつ重要であろう。

私は、英語劇活動がコミュニケーション学習に効果を上げるという実感が個人的体験からある。1994年の米国長期研修では、英語劇活動を教室での学習に生かす方法をテーマにして研修に取り組んだ。劇の中では学習者はお互いが(役の上ではあるが)自分の意志を語り、また聞き取るという課題が与えられる。つまり口頭でのコミュニケーションをシュミレートしている。よって英語劇を用いると、コミュニケーションのための、効果的な話し方(イントネーションなど)や正確な発音を要求され、これらを達成するという到達目標が与えられる。教室で英語劇の手法を用いた学習活動が、学習指導要領の目標の「英語を理解し、英語で表現する基礎的な能力を養い、英語でコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる」を具現化する指導例になる。

問題は、どのような劇が教室での学習活動に使えるかということである。(続く)

2011年9月23日金曜日

私の英語学習歴(その1)

1.幼少期
父親は中卒であったが、映画好きで、洋画を通じて外国文化に興味を持っていたようだ。赤ん坊の頃海水浴に行った折り、外国人(多分アメリカ人)に話しかけられ(私は当然記憶無く、親の思い出話)、父は口語英語への関心が高まっていったようだ。そんな父親の影響を受けたのか、アルファベットの文字には関心を持っていたようで、公衆トイレの「WC(ダブリュウシー)」が読めた。Wは自分の名前の頭文字であることも認識できていたようだ。これは、母親が下着に目印で名前の頭文字を書いていたせいかもしれない。幼稚園の頃TVのサンダーバードが大好きで、航空機の機体の横に書いてある英語をどうしても書き写したくて、一生懸命覚えようとしたのだが、「てぃー、えいち、ゆー、えぬ、でぃー、、、ええと、いー・・・」までが限界であった・・・人間が一時的に覚えられるのは七つまで、というのは大人になってから知ったことである。当時テレビッ子で見ていた番組のシャボン玉ホリデーで日本人が英語の歌を歌っているのを聴き、「日本人なのに英語で歌が歌える!」と感動を覚える。小学校三年生くらいの時に父が「コンサイス英和辞典」「コンサイス和英辞典」を買ってくる。当時自動車が大好きで、早速和英で調べてみると、英語はなんて書いてあるのか読めなかったが、読み方がカタカナで書いてあり、「おーともびる」と読めた。
(続く)」